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ピープルウェア(第二部 オフィス環境と生産性)

トム・デマルコ/ティモシー・リスター(日経BP社)

1.プログラムは夜できる(のはゆゆしき問題)
(1)深夜残業、朝早い出社、自宅で仕事、いずれもオフィス環境の悪さに起因する場合が多い。
(2)オフィス環境、企業の雰囲気、あるいは企業文化に魅力がないと、優秀なプログラマーも去っていく。
(3)プログラマーが通常就業時間内に仕事に打ち込めないのは、オフィスの環境改善を図らない管理者の責任。

2.頭脳労働時間対肉体労働時間
(1)時間のたつのを忘れ、作業が自然にスムーズに流れる状態(=フロー状態)が長いと仕事は効率化されるが、
フロー状態になるには通常15分以上の精神集中が必要。その間にTEL等で邪魔されるとそこからまた15分以上かかる。
(2)プログラマには論理的思考を司る左脳が重要。
ただし、ヒラメキが起こる余地を残しておくには、右脳を利用する。
音楽は右脳が処理するので、聴きながら作業を行うとクリエイティブな仕事には効率が悪い。

3.オフィス環境進化論
(1)通常の開放型オフィスは管理者が容易にコントロールし、縄張りを取り仕切る所を誇示するには適している。
しかし、これは部下にとっては仕事は集中しにくい。
各個人にとって、十分なスペース、静かさ、プライバシーが確保された環境が望ましい。
(2)ビル建築のマスタープランは同形同一規格という考え方。
(サンフランシスコのトランスアメリカンビル(アパートの鍵貸します))
メタプランでは、各部門の要望を取り入れ、建物全体の機能はそれぞれ少しずつ進化するという考え方。
メタプランにより、各部門の有機的秩序が形成される。
(3)背後の壁により自分以外の発生音(=騒音)を遮断し、前方2.4m以内は壁を設けない
(視覚的圧迫感からの解放)。また、各人がまちまちの方向を向いて同じ動きをした仕事を行うオフィス環境が望ましい。
(4)オフィスビルの中に入るに従い、プライバシー深度が高まるのが良い。
入り口は全従業員にとって暖炉のように安心して集まることのできる共通の場とし、
チームミーティングエリアでは会食可能とし、個人用エリアでは各人が静かに仕事に没頭できる環境が望ましい。