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仕事に活かす“論理思考” (ちくま新書) 本田有明(ちくま新書)

1.<複眼思考>で見えてくるもの
(1)積極的傾聴
・傾聴後、相手に発言内容を整理するよう促す(整理完了=半分以上問題は解決している)
(2)翻訳能力
・相手の使っている言葉の意味を分析する
・キーワードを双方で確認し合う
・各人が持っている言葉のイメージに騙されない事
(3)バランスシートの発想
①意思決定する際は、良い所/悪い所を同じ数(10項目以上)列挙する
②どちらかに偏見がある(項目が多くなる傾向あり)と感じたら、項目を分析し絞り込む
③分析の結果、逆の要因に転化しないかどうか再考する
(4)目標設定
・できるだけ具体的な表現で記述する
(5)問題解決能力
・問題発見の感度が良いと問題解決能力も高い

2.<三点発想>で構造的理解を
(1)(対話で)論理をふくらませる技術
・二者択一の議論でなく第三のアイデア(建設的議論)を思考する(ダイアローグ)
・人に説明する時は3つに分けて話す(AND/OR/NOT、現在/過去/未来などで分ける)
・人の話を聞く時は3つの解釈を意識して傾聴する(Yes/No/So What?)
・人の話を理解する時は3つに分けて自答する(要約/判断/結論)
・人から指示された時は3つに分けて対応する(急/緩/捨)
 →判断に迷う場合、後日確認する
 →「捨」の中には、部下に任せる対応もあり

3.<抜本塞源>(抜本策により問題を源から塞ぐこと)という考え方
(1)ゼロベース思考
問題を「減らす」ではなく「なくす」にはどうすべきか考える
(2)先手を打つ
相手のある仕事(上司/客からの依頼)は、朝一番に確認し、
一日の仕事の段取りを先行して決めてしまう
(3)作業の効率化
・会議は起立して実施(キャノンでは経営会議でさえメンバー起立で実施)
・ノー残業デーには定刻に管理者自ら職場消灯
・アイデア立案も所要時間決めて会議実施(ただし各人の事前準備が必要)
(4)自己実現施策
①自分の強み/弱みを分析し、強みをより活かすための必要条件をあげる
②必要条件をクリアできるための方策として、自然と自分を誘導できるようなアイデアをみつける
③行き詰まったり、悩んだ場合、期間を決めて問題解決のスケジュールを決めてから取り組む
④スケジュールは情報収集をいつまでに行い、分析/意思決定をいつ行うかでよい
⑤意思決定はできるだけ良い環境で行い、合わせて自分へのプレゼントを与える

4.<顧客志向>を哲学に高める
(1)真のCSとは何か
・顧客の立場を実際に追体験して、状況を理解する事
(2)CSの3つのレベル
①方針(=目的)②戦略(=方法)③戦術(=手段)
・上記3つを具体的に明示して、社員全体の共通認識とする事
・③のみ(利益を得るためのCS)の位置づけだけだと曖昧に伝わる事になる
・究極のCSは「人」自体を大切にする事
・CSに基づいた組織は従来とは逆さまのピラミッド構造となる(従業員>管理職>経営者)

5.<自己否定>の論理を内包する
(1)「菊と刀」(第二次大戦後のアメリカの日本研究報告書)が指摘した事
・武士道にある忠義は残っているが、肝心の「仁」がない
・企業内ではうちわの理屈(上司や組織への恩や義理)が重視され、普遍的な善(=仁)がないがしろにされる
・「仁」に即した義務(=ビジネス・エシックス(職業倫理))から発生した命令遵守のため、
 時には自己(=自己の都合や企業利益)を捨て去る事(参考:カント「道徳形而上学原論」)
・うちわの理屈が曖昧だと甘い考えに傾きやすいため、社員服務規定は厳格であること
・リーダーには公共性と倫理性が求められる(参考:マルクス・アウレーリウス「自省録」)