Smily Books Blog 2023年7月更新中

ブランド・ストレッチ デビッド・テイラー(英治出版)

1.ブランド・ストレッチが失敗する理由
(1)ヴァージンの自己中心ストレッチに見られる問題点
・コア(航空とエンターテイメント)を大切にしない
・有名になった理由(誰もが称える大企業である航空と金融に挑戦した事)を忘れる
・消費者や市場を理解しない
・散発的なストレッチ(ブランド・プロミスできない分野への資源投入)
・実行(サービス)がおざなりになる
(2)ダブの三段階ストレッチ
 ①コア製品の拡張
 ②直接的ストレッチ(製品の本質的部分のストレッチ)
 ③間接的ストレッチ(ただし、一貫したマーケティングが必要)

2.コアを強化する
(1)コア製品の指標
 ①売上高(過去数年間、継続的に成長)
 ②ブランド・イメージ(消費者が選ぶ理由となっている特徴が明確)
(2)ブランド拡張時のリスク
 ①アイデアの横取り
  アイデアをコア製品に付加(製品変更)することによるベネフィット低下
 ②カニバライゼーション(共食い)
  他製品への利益侵食
 ③新しいおもちゃ症候群
  次々に新製品、製品変更を行った結果、売り上げ、利益共に低下

3.ビジョンを構築する
(1)基本ブランドのポジショニング
バック・トゥ・ザ・フューチャー(将来から初めて現実へ戻る)
・基本ブランド(=将来=あるべき姿)とし、現在の製品(=現実)開発計画を立てる
・市場は広めに捉える(ただし、自己中心でなく市場動向をよく捉える)
(2)ブランドの柔軟性
 ①製品ブランド(コカコーラ)
  コア製品ラインの拡張に集中する
 ②スペシャリスト・ブランド(パンパース)
  直接的ストレッチに集中する
 ③アンブレラ・ブランド(ダヴ、ヴァージン)
  企業「傘下」に複数の業種があるため、間接的ストレッチに集中する
 ④ライフスタイル・ブランド(グッチ)
  360度ストレッチ

4.ブランド・ストレッチの機会を見つける
(1)市場マップを作る
・六つの要素
 6P:人(People)、購入目的(Purpose)、使用時期(Period)、場所(Place)、価格設定(Price)、製品(Product)
 ①人 新規顧客
 ②購入目的 新たなベネフィット
 ③使用時期 新たな機会
 ④場所 新たなチャネル
 ⑤価格 プレミアムをつける
(2)イノベーションへの近道
・理論は直線的(消費者理解→コンセプト→製品開発)だが、
 現実は上記の繰り返し(イノベーション・ループ)
 ①他のカテゴリーをヒントにする
 ②社内から着想を得る
  宝となる技術を探す、アイデアを拝借する
 ③競合の動きを参考にする
  一番手になる、自社の強みを活かす

5.アイデアを絞り込む
(1)事業性とブランドの魅力度の二軸マトリクスで絞り込む
・魅力があるか(問題解決度、暮らし快適度、他との差別化、お買い得度、市場動向)
・信頼性があるか(機能面、感情面)
・既存製品を補完するか
・実行するだけのコンピタンスがあるか
(2)ブランド拡張バリエーション
・ライセンス供与
・共同ブランディング

6.ブランド・ストレッチを実現させる
(1)ブランド・プロミスを実行する
 消費者が抱くブランドらしさを必ず実行、実現する
(2)差別化のポイント
 ①独自性(「ベルトーリ」のオリーブオイルのマーガリン)
 ②そこまでやるのかと思わせる(「ジレット」の何億ドルの基本開発費)
 ③ひねりを利かせる(「テトリー」の丸型ティーバッグ)

7.ブランド・アーキテクチャを持つ
(1)ブランド・アーキテクチャとは
 ①消費者支援
  製品選択のサポート(適切な製品を簡単に購入できるように)
  コンセプトの通知(ブランド概念を適切に理解してもらう)
 ②組織支援
  ネーミングとアイデンティティ(色、ロゴ、視覚イメージなど)の一貫性
  ROI(投資収益率)の向上(適切な製品に適切な資源配分)
  コミュニケーション戦略(基本ブランドと拡張製品のバランスのよい伝え方)
  ・ブランドのエピソード
  ・ブランドのバックボーン
  ・ブランド資産
  ・ファミリー感
  ・スタンドアローン
(2)単一プラットフォームのブランド(製品、スペシャリスト)
 ①バージョンで整理する
 ②フォーマットで整理する(例:粉末、タブレット、液体)
(3)複数プラットフォームのブランド(アンブレラ、ライフスタイル)
 ①プラットフォームの数を決める
 ②基本ブランドと拡張ブランドの違いを確認する
 ③ブランド・アイデンティティを検討する
 ④プラットフォーム毎に製品ラインを設計する
 ⑤事業性とブランド・ビジョンへの貢献度を考える
 ⑥今後の展開を考える