図解ビジネス実務 マーケティング 坪井 克諭他(日本能率協会マネジメントセンター)
1.理論・概念
(1)4P/5P
①4P
product(製品)、price(価格)、place(流通)、promotion(販促)
→最近はpromotionがクローズアップ(広告、広報、SP、口コミ)
→他の3Pもメディアと考えれば、全てコミュニケーションとして捉えられる
②5P
4P+person(人材)
(2)3C/4C
①3C
company(企業)、comsumer(消費者)、competetion(競合)
②4C
consumer value(価値)、cost(コスト)、convenience(利便性)、communication(コミュニケーション)
→4Pを消費者側から見た場合のマーケティング要素
(3)経験価値マーケティング
①sense(感覚)
おしゃれ、カッコいいなどの感覚の体験
②feel(情緒)
楽しい、愉快などの気分の体験
③think(思考)
想像や思考を刺激される体験
④act(活動)
そうしたい、やってみたいと思う気持ちになる体験
⑤relate(準拠・帰属)
自分が準拠する、帰属していると感じる体験
→市場の成熟化に伴い、これまでの機能的な付加価値から経験から得られる価値を提供する
(4)スリーヒット理論
通常は広告接触3回で購入意思が固まる
①広告接触1回目
広告を知る
②広告接触2回目
広告を理解する
③広告接触3回目
購入の意思を固める
→既存品、耐久財、年配者は回数が多くなる
→新製品、最寄品、若者は回数が少なくなる
→ただし、購買の直前(例えば1週間前)だと1回の広告で購買行動に移る(リーセンシー理論)
(5)ブランド
付加価値のある類似、関連性の高い多くのイメージを持つ一つの商品
品質が保証されているだけでなく、他の商品と差別化された魅力があることが条件
2.分析
(1)ロジスティック曲線
元々は人口増加パターン
マーケティングでは新製品の普及曲線であり、S字カーブを描く
通常、普及率10〜15%を越えるあたりから急激に普及のスピードが高まる
高額商品があてはまりやすい(安価商品は指数曲線)
(2)インサイト
消費者と商品との間にある普段意識していないが非常に重要な接点や関係
消費者の本音、心のボタン
(3)ロイヤリティ
ブランドに対する忠誠心
リピート購買、価格に左右されない、競合によるスイッチがない、周囲へ良い口コミを起こす
既存顧客のロイヤリティ度合いを把握し、どのように高めていくか手口をみつける
3.戦略立案
(1)コアコンピタンス
企業の中核となる独自(他社がまねできない)技術
単に得意分野に集中し、不得意分野をアウトソーシングすることではなく、中核技術を基盤にしながら、多角化を進めることが正解
(2)KFS(Key Factor of Success)
成功への鍵となった要因
(3)競争地位別戦略
①リーダー(質量共に経営資源十分あり)
新しいマーケットを切り開く
②チャレンジャー(量的経営資源のみ十分あり)
差別化戦略、市場細分化で特定分野に集中する
③ニッチャー(質的経営資源のみ十分あり)
限定市場での個別技術活かす
④フォロワー(質量共に経営資源なし)
他社の模倣を基本に低価格展開
(4)同質化戦略
リーダーがチャレンジャーの先行した新商品を模倣し、同質化させる戦略
後発のハンディを超えるマーケティング力があることが前提
(5)ペネトレーション戦略
本来は高価格設定可能なのに敢えて低価格とし、一気に市場シェアを獲得する
たとえば携帯電話機器1円、ADSLソフト無料とし、加入料や通信料で儲ける
(6)スキミング戦略
高価格で富裕層、マニア層から早期に回収(先行者利益確保)する
浸透度合いを見ながら、徐々に価格は下げる
競合他社が新規参入できない独自性(生産設備、原材料、特許など)が必要
4.商品施策
(1)製品と商品
①製品
工場から出荷される状態そのままのもの
②商品
製品を消費者が購入できる状態にしたもの
名前、パッケージデザイン、価格など付加する
(2)カテゴリー戦略
代替可能性を持つ商品をどのカテゴリーで捉えるか
例えば、健康ブームなら黒酢→健康飲料コーナー、料理ブームなら黒酢→調味料コーナーに設置
(3)ネーミング
①頭文字から造語(AERA:Asahi shimbun Extra Report&Analysis)
②語尾を変形(BLENDY:BLENDにYを追加)
③2語をプラスする(ママレモン:ママ+レモン)
④2語をプラスして、少し削る(エコキュート:エコロジー+給湯)
⑤語呂合わせ(ダジャレ)(通勤快足:通勤快速から)
(4)カニバリゼーション(canibalization)
自社商品同士が同じ顧客を取り合う
(5)プライシング(価格)
高すぎると買わなくなり、安すぎると品質に不安で買わなくなるため、通常、買っても良い程度の価格範囲で利益を加算して売り出す
(6)価格競争力/価格弾力性
①価格競争
競合商品に対し低価格で競争すること
②価格弾力性
価格を下げたときの購入量が増える度合い(あるいはその逆)
(7)再販価格(再販売価格)
流通業者が決める(安売り可能な)販売価格のこと(メーカーの拘束は禁止)
著作物(書籍、雑誌、CD等)は例外
→価格競争させないのは、売れ筋商品=文化的水準が高いとはいえないから
→市場価格の論理よりも文化的水準を保つ事が消費者全体に利益をもたらすという考え方
(8)NB/PB/SB
①NB(National Brand)
全国展開の有名ブランド
品質は一定水準以上であるが割高
②PB(Private Brand)
小売業の自社開発ブランド
自主企画商品
③SB(Store Brand)
流通小売業が自店舗で販売したブランド
③とほぼ同じ
5.流通・販売施策
(1)マーチャンダイジング
商品の売り方を適切に決定すること
以下の5つを最適化する
商品、時期、価格、量、場所
→誰にとって「最適」かを捉え、優良顧客を見極めることが重要
(2)ロジスティックス
元々は「兵站」(戦っている最前線部隊への後方支援)
原材料の調達→製品の生産→商品の販売の全物流の全体最適化が必要
(3)ランチェスターの法則
マーケットシェアによって戦略を変えるべきだとする考え方
①トップシェア企業戦略
追従戦略:2番手以下の差別化戦略を無効化
→トップシェアの種別
独占的寡占(73.9%)、独走態勢(41.7%)、安定首位の境目(26.1%)
②2番手以下の企業戦略
集中戦略:徹底した差別化を行い、追従不可とする
(4)代理店/特約店/販社/無店舗販売
①代理店
特定事業者の代理として業務請負
②特約店
特定地域販売を独占請負(代理店の一種)
③販社(販売会社)
メーカー系列化の販売業者
④無店舗販売
インターネット/通信/訪問/自動販売機など無店舗による販売
(5)マージン/コミッション/リベート
①マージン
利幅(メーカー:売上高−製造原価、小売業者:売上高−仕入原価)
②コミッション
手数料(扱った商品に一定の比率を掛けて算出)
③リベート
割戻し(メーカーが流通業者から代金徴収後、販売促進協力への見返りとしてメーカーから流通業者へ割り戻す)
(6)GMS/ボランタリー・チェーン/フランチャイズ
①GMS(general merchandise store)
衣食住全て扱う大型スーパー
②ボランタリー・チェーン
小売業者が独立したまま互いに提携(チェーン化)した組織
→大型スーパー対抗策
③フランチャイズ
本部が加盟店を募るという関係でチェーン化
(7)SP媒体
sales promotion(販売促進)の媒体
①店頭POP(point of purchase advertising)広告(シェルフトーカーなど)
②交通広告(電車の中刷りなど)
③折込み広告(新聞折込みチラシ)
④DM
⑤屋外広告(ビルの外壁、屋上など)
6.広告施策
(1)パブリシティ
事業・商品・サービスなどについて無料でマスメディアに取り上げてもらうための広報活動(プレスリリース、記者発表会など)
→無料のため報道内容は記者任せ→編集内容のチェックを行いたい場合、有料(ペイドパブリシティ)化
(2)リーチ/フリークエンシー
①リーチ:広がりを示す数値
広告の到達率(ある地域のターゲットとする人々全体のうち何%届いたか)
②フリークエンシー:深さを示す数値
広告の接触頻度(広告を何回見たか)
→掛け合わせたGRP(gross rating point)でも測定する
7.インターネット施策
(1)リスティング広告
①アドワーズ広告
検索結果のページ右脇に表示される
②オーバーチュア広告
検索結果より上位に広告サイト名が表示される
→クリック単価で広告料金が決まるため、頻繁に検索されるキーワードは落札価格が高い
(2)アフェリエイト広告
広告主が企業や個人のホームページに広告を出し、購入に至った場合、広告主がアフェリエイター(サイト運営者)に報酬を支払う
(3)ユニークユーザ数/ビジット数
①ユニークユーザ数
1人のユーザが同じサイトを何度も訪れるため重複を除いて計算
②ビジット数
サイト内全ページ閲覧でも1ページ閲覧でも同じ1回でカウント
(4)メディアレップ/キャリアレップ
①メディアレップ
media representative:メディアの買付専門会社
②キャリアレップ
モバイル広告の専門会社
(5)インターネット広告の料金体系
①インプレッション保証型
画像の表示回数に課金
②期間保証型
提出期間を保証して期間に課金(期間を決めて広告する)
③クリック保証型
保障されたクリック回数に対して課金(契約したクリック数に到達するまで広告してくれる)
④クリック課金型
クリックした回数に応じて課金
⑤成果保証型
成約数や、資料の請求件数などに対して課金