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技術者のためのマネジメント入門―生きたMOTのすべて 伊丹 敬之(日本経済新聞社)

1.技術経営(MOT)とは何か
(1)技術経営に必要な三つの要件
 ①技術哲学
  技術の良し悪しの考え方
 ②事業観(戦略眼)
  技術が事業として成立するかどうかの見方
 ③組織観
  ヒトのダイナミックスについての基本的考え方

2.マーケティング戦略フロー
(1)条件設定・環境分析
 目標、戦略課題と外部、内部(自社)環境分析(SWOTなど)
(2)STP
 ①S(セグメンテーション)
  市場構造分析
  どんな切り口で市場を区分すればよいのかを考える
  グループ化することで、価値提供を効率化できる
  できれば独創的なセグメンテーションがよい(単なる「30代男性」よりも「ロックを愛する30代男性」)
 ②T(ターゲティング)
  セグメンテーションした市場から、自社が狙うターゲット市場を選択する
 ③P(ポジショニング)
  ターゲット顧客の頭の中でどんな位置づけとなりうるか
  想定競合に対し、自社が勝てる位置づけが必要
(3)マーケティング・ミックス
 STPで決定した戦略を達成するための戦術(4Pなど)
(4)実行・モニタリング
 顧客、競合、流通、マスコミのモニタリングとマーケティング活動の妥当性の検証(仮説設定と結果検証の繰り返し)

3.プロジェクトチームメンバ分析手法
 交流分析(TA:Transaction Analysis)により性格を5つに大別
(1)FC(自由な子供)
(2)AC(親の顔色を伺う子供)
(3)A(冷静な大人)
(4)NP(世話焼き親)
(5)OP(監督命令する親)

4.コンセプト創造の方法論
 以下の7つのステップから構成される
(1)マジカル・ナンバー7±2
 いろいろな分野から7±2人集める
 →人間が協力して一つの仕事をする時、最も効果的な人数
(2)未来顧客の定義
 未来顧客が何のために新商品、新サービスを求めているか明確にする
(3)アイデア・ブレーンストーミング
 新商品、新サービスに求められる機能や内容を洗い出す
 →7±2人が時間をかければ200〜300のアイデアが集められる
(4)アイデアのグループ化
 KJ方でグループ化する
 →10〜30のアイデア・グループにまとめられる
(5)アイデア・グループの選択
 最も重要な3つを選択する
 ①議論が膠着したら、一旦中断し、メンバのうちの誰かが新しいアイデアの切り口を見つけるまで発酵させると良い
 ②アイデアのコンセプトは3行にまとめる
(6)市場発展シナリオ順に並べ替え
 3つのアイデア・グループのどれから順に実現する事が市場から求められるか考える
(7)技術的な実現性のチェック

5.技術と市場の相互翻訳力
 技術者が顧客の問題を発見する力
(1)各分野に対するアンテナを高くする
(2)セレンディピティ(日常での間違いや別目的などの想定外の偶然を見逃さないで捉える)