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コトラー 新・マーケティング原論

フィリップ・コトラー(翔泳社

1.デジタルエコノミーで高業績をあげる秘訣
(1)「作って売る」より「(ニーズを)感じとって満たす」ように努める
ニーズに短期間で対応することが高い収益率に繋がる。
(2)グローバル経済を事業フィールドに据える
インターネットのメリットである地理的制約のない取引を目指す。
(3)収穫逓増のサービスを目指す
工業化時代に足かせとなった在庫管理(棚スペース)が無限に用意されていることを利用し、収穫逓増となるレベルまで顧客数を獲得する。
その後はその存在感と口コミの力でなかば自然に顧客が増えていく。
(4)社外の物的資産を最大限利用する
工場よりもブランド力を手に入れる。
物的資産は利用権だけ取得し、それをサービスとして顧客に提供し、利益を得るようにする。
(5)企業統治(コーポレート・ガバナンス)から市場統治(マーケット・ガバナンス)へ重点を移す
社外資産調達にかかる取引コストを減らす仕組みを構築する。
(6)大量市場(マス・マーケット)ではなく「顧客市場(マーケット・オブ・ワン)」を前提にする
地理的制約のない取引先相手はあくまでも市場(1対多)ではなく、1対1の形のサービスを目指す。

2.高い価値を生み出すための企業課題
(顧客価値、コア・コンピテンシー、協働ネットワーク)
協働ネットワークとは、全ての利害関係者(ステークホルダー)の利益を追求することであり、それにはまず顧客よりも社員が満足しなくてはならない。
また、事業パートナーへの報酬を抑える(いわゆるゼロサム・ゲーム)のではなく、十分な報酬を与える。そして、サプライヤーをむやみに拡大しないことで、事業パートナーとの絆を強めることで協働ネットワークが構築される。

3.ホリステック・マーケティング(新しいマーケティング・パラダイム

利害関係者(ステークホルダー)間で長期的なWin-Win関係を築く。
カスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)をさらに押し進めた「ホール・リレーションシップ・
マネジメント(全当事者との関係性をマネジメントする)」

4.顧客主体の価値創造
消費者(コンシューマ)は「プロシューマ(自ら製品の創造にかかわる消費者)」へ役割を変える。
(例.自分のニーズにあった機能やサービスを選んで注文できるデルコンピュータ)

5.コミュニティ主体の価値創造
購買行動に至るポイントはもはや企業からの広告だけではなく、消費者同士の意見交換からコミュニティ
の場が形成され、そちらの情報がメーカーからの情報より信頼性が高くなる。
いわゆる口コミの場をメイカーがサイト上に提供し、公開する。
(例.財テク(モトリーフール・コム)、日用雑貨(ネットマーケット・コム))
ただし、コミュニティのサイトはメイカーから独立した方が人気が出ている。

6.顧客の生涯価値を最大限引き出す
新規顧客獲得よりも既存顧客のロイヤルティ獲得を重視する。
具体的にはパーミッション・マーケティング(DMなどの一方的な広告でなく、顧客の意志に基づく
広告、情報提供の形)がある。これにより、短期的には損失があっても長期的には利益が得られるという
観点で考える。ただし、生涯価値が少ないと判断した顧客には高い手数料提示、対応コスト削減と
対応を変えるべきである。結果的に顧客が去ったとしても大きな損失ではないと判断する。

7.バリュー・プロポジション
後発企業がなすべきは、先行者の模倣でなく、
バリュー・プロポジションを用意する。
(1)製品だけでなくそれに付加されるアイデアのブランド化
(2)関連製品を多数揃える
(3)ワンストップ・ショッピングを実現する
(4)スピーディにニーズに対応する(クレーム問合せ、製品処理スペックの向上)
(5)統合ソリューション、ソフトを提供する
(6)従来価格のままで機能アップする

8.CRMの実践プロセス
(1)ターゲット顧客を特定する
(2)ニーズを満たす
(3)永続的な絆を築く

9.事業パートナーのタイプ
(1)戦略的サービス・パートナー
業務のアウトソーシング先。
自社はパートナーのナショナルブランドからプライベートブランドを作成する。
(2)非戦略的サービス・パートナー
定型事務処理など非中核的処理の委託先。
会計、資金調達、間接調達、出張手配など。
(3)付加価値サプライヤー
顧客企業の要求仕様に合わせて部品を設計・製造する。
(4)コモディティサプライヤー
一般的な部品供給先。
(5)ネットワーク事業者
セキュリティ考慮した高速回線の標準技術やインタフェース提供元。
(6)アプリケーション・サービス・プロバイダ
中央のデータファシリティから顧客にパッケージ・アプリケーションを提供し、
管理を行う。その時業務アプリケーションは事業パートナーから購入する。