Smily Books Blog 2023年7月更新中

妄想の成果主義 高橋伸夫(日経BP社)

1.日本型年功制
(1)生活費保障型賃金
戦後のブルーカラー、ホワイトカラーの身分制撤廃に合わせて、
全従業員に同じ賃金制度として春闘方式の下での「年齢別生活費保障型」賃金カーブが定着した。
(2)給与報酬(=成果主義)でなく次のより良い仕事を与える事で報いるシステム
(3)終身コミットメントにより未来を保障する環境でモチベーションを上げる

2.日本的経営の評価
(1)アベグレンの「日本の経営」
①終身コミットメントの発見
(2)オオウチの「セオリーZ」
①タイプA
米国企業の組織の理念型、短期雇用、早い人事考課と昇進、個人による意思決定
②タイプZ
日本企業の組織の理念型の米国版(IBM、HP、インテルなど)
③タイプJ
②のうち、個人責任を集団責任に置き換えたもの、①と②の中間型
終身雇用、遅い人事考課と昇進、集団による意思決定
(3)日米の品質管理キャッチボール
①日本でデミング賞設立(1951)され、日科技連がQCサークル立ち上げ
②日本のTQCが欧米に(TQMとして)輸出(1980年代)
③米国でマルコム・ボルドリッジ賞創設(1987)
④日本版MB賞である日本経営品質賞創設(1996)

3.人が働く理由
(1)給与、待遇といった職務満足は一時的なものであり、生産性を恒常的に高めることはできない
(2)衛生要因(環境)の向上により職務不満足を防止することはできる
(3)自己決定の感覚が強いほど職務満足度は高くなる
(4)自己実現力には「有能さ」(competence)が必要
 自己とその周りの環境との間に効果的な相互作用(変化)を生み出す力のこと
(5)効果的な相互作用とは、個人に適したチャレンジできる目的を与えること

4.未来の持つ力
(1)将来性(見通しのある)企業ほど離職率が低く、職務満足度も高い
(2)見通しさえ立てば、満足度が低くなっても離職率は高くならない
(3)満足度が低い=適度なチャレンジできる状態となっている場合がある
(4)企業側と労働者側のゼロサムゲームでなく、お互い協調するのが一番効率的
(企業側が見通し=将来の保障を与え、労働者側がそれに報いる形で働く構図)