失敗する前に読むプロジェクトマネジメント導入法 浦 正樹(翔泳社)
1.プロジェクトマネジメント導入の方法論
(1)パイロットプロジェクト(象徴的成功)の横展開
①WBS、プロジェクトマネジメントプロセス
②ハードウェア選定要件、サーバ環境設定要件
③プロジェクト運用/システム運用マニュアル
④サーバ構築、環境設定
⑤支援ツール(ビュー)定義
⑥ポートフォリオ分析
⑦新規あるいはカスタマイズ開発
⑧支援ツールトレーニング
⑨プロジェクト運用支援
(2)WBSベースの検証方法
①できる限り同階層間のみのタスク間依存関係がよい(依存関係ない場合、詳細化し過ぎ)
②タスクの責任者をアサイン
③成果物とタスクを関連付け
④成果物の構成要素がWBS上に散らばっている場合、要検証
⑤マネジメントの視点(5W1H)でタスク評価(誰がいつ評価するかなど)
⑥詳細化しにくい(経験/情報の少ない)タスクほど詳細化が少ない
2.支援ツールでマネジメント業務を効率化する
(1)支援ツールの目的
プロジェクトマネジャーの目の付け所(マネジメントの視点)を視覚的に認知できるよう支援する
(2)通常の表計算ソフトにないメリット
①ガントチャート作成
②期間、工数、リソース負荷状況自動計算&警告通知
③WBSの枠(制約)があるツール利用により、強制的にWBSを導入できる
(3)初期導入時の抵抗感を越える方法(汎用性追求のあまり機能過多で使いにくい事が多い)
①ツールの活用シーンを特定し、シーンに合わせた操作方法をマニュアル化&説明する
②最低限の利用方法を伝え、誘導する
3.PM導入によって組織を変える方法論
(1)スポンサーシップの発揮
通常はトップマネジメントがスポンサー(単純に「お金を出す人」の意味ではない)となり、組織全体をサポートする事を自分の言葉で表明する事が重要
(2)変革を阻害する5つのギャップと有効な対応策
以下の5つのギャップをステークホルダー別に層別分析し、優先順位付け、施策を検討
①コミュニケーション・ギャップ「そんな話、聞いてないよ」
→当事者意識を持ってもらえるように伝える
②インセンティブ・ギャップ「そんなことやっても私にはメリットがないよ」
→組織のメリット(全体最適)が個人のメリットであることを理解させる
③カルチャー・ギャップ「これまでうまくいってるので、そんなことやらなくてよいよ」
→「変化しないことが罪」であることを実感させる
④スキル・ギャップ「そんな面倒なツールは使いたくないよ」
→活用できるところから使うように誘導する
⑤ワークロード・ギャップ「忙しくってそんなことしてる暇はないよ」
→トップマネジメント自らサポート表明する
(3)トップ自らプロジェクト情報/ツールを活用している事をアナウンスする
(4)複数のタスクが合流するところには合流バッファをスケジュールしておき、遅延を事前防止する
(5)コンカレントな作業(互いに関連のある作業を同時並行で行う)時の施策
→並行処理する前に影響しあうプロセス間の意思疎通や決め事を行い、スケジュールの実現性を高めておく(フロント・ローディング)