複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線 マーク・ブキャナン(草思社)
1.ただの知り合いが世間を狭くする
(1)親密度の強い友人とはその枠(クラスター)内で噂が閉じてしまいやすいため、情報は伝わりにくい
(リンクが弱い友人に伝わった情報の方が広く遠くまで伝わる)
(2)エゴで固く結ばれた集団(クラスター)同士は通常結びつくことはない
(3)あるクラスター内に他のクラスターとの弱いリンクも持っている人(コネクター)がいることで、通常結びつくことのないクラスター同士が結びつくことが出来る
2.インターネットがしたがう法則
(1)リンクとノードの関係はべき乗則にしたがう
リンク数が倍になるにしたがい、そのリンクを持つノード数はほぼ5分の1に減少
ベル型(正規分布)と異なる
①裾の下がり方がずっと緩やかで、ゆっくりとゼロに近づいている
②極めて多数のリンクを持つノードが見つかる可能性が高い
③全リンク数の80〜90%がごく一部のノードに流入している
④極めて多数のつながりを持つごく一部のハブ(コネクター)に全ノードが支配された特別な構造といえる
(2)ウェブの直径
あるサイトにあるドキュメントから約19クリックで他のサイトのドキュメントに行くことが可能
(ウェブの直径は全ドキュメント数の対数依存のため、ドキュメント数が膨大でも直径は小さい)
3.集団思考
(1)集団の中では全体意見がいつまでも一致しない不愉快さを緩和するために、それぞれが意図的に総意を得ようと努める
(2)ひとたび全体の合意が得られてしまうと代替可能な選択肢があるにもかかわらず制限されてしまう(不満を持っていても言い出しにくい状況が生まれる)
4.弱い絆の中の安定性
(1)捕食者と被食者の関係が強ければ強いほど、一方が減少すると一方も必ず減少(大きく影響を受ける)
(2)弱い絆(結びつき)を多く持つものほど、危険な変動の影響を受けにくい
5.シェリングの人種分離モデル
以下の順にコミュニティは変貌していく
(1)誰しも人種の枠を超えて一体となった調和のあるコミュニティに暮らしたいと考える(人種が均一に交じり合った理想状態)
(2)ところが、誰しも自分だけは極端な少数派(近隣が全て自分以外の人種)となることを望んでいない(個人が持つささやかな好き嫌い)
(3)誰しも極端な少数派を避けようとする結果、あちこちに人種別のクラスター(スモールワールド)ができあがる