要求開発~価値ある要求を導き出すプロセスとモデリング 山岸 耕二(日経BP社)
1.要求開発とは
(1)システム作り込み機能のうち、結果として利用されているのは36%(2000年Standishグループの調査)に過ぎない
(2)なぜ「開発」なのか
①要求は「もともとあるもの」ではなく、上位の目的(ビジネス要求)をもとに開発すべきもの
②利用者の要求を聞きだしてそれを文書化しただけでは、業務は効率化できない
③要求を定義していく作業もシステム開発と同様のプロセスで取り組むべき作業である
2.プロセスキャビネット
(1)準備→立案→(ビジネス)デザイン→(システム開発への)シフトの順に段階的に詳細化・具体化していく
(2)フロントローディング開発プロセス
画面・帳票や共通的アーキテクチャなどのプロトタイプ開発
(3)Openthologyの3つのモデリング
①ビジネスモデル1+3の観点(ビュー)
ビジョンとゴール、サービス構造、プロセス構造、情報構造
②フェーズとモデルの詳細度
段階的に詳細化・具体化することで、最初から過度の詳細化に歯止めをかける
③モデリングの目的・相手と抽象度
・業務担当者からヒアリングする際には抽象度を具体的なレベルまで落とす
・その後、抽象度の高いモデルに洗練し、そこから得た知見を業務担当者にフィードバックする
→抽象度を上げたり下げたりしながら、モデル品質を高めること
3.要求開発を成功させるために
(1)制約事項の優先順位付け
機能、品質、スケジュール、コスト、リソースについて
3段階(変更不可、調整余地あり、調整可能)の優先順位付けしてステークホルダー間で情報共有
(2)顧客業務を理解するためのポイント
①顧客と開発者の物理的・時間的距離を縮める
②解決策にすぐ飛びつかない(IT専門家、業務担当者それぞれの視点をじっくり融合していくこと)
③方法論/ツール至上主義に陥らない(ゴールデンハンマー:金槌を持つと何でも釘に見える)
④業務の本質を掴み取る(問題の根本的原因を把握すること)
⑤5ゲン主義(現地、現物、現実、原理、原則)を実践する
(3)要求開発チームの3つのコア
①体系的に整理して分析する
②本質を掴み取って可視化する
③ファシリテーション力(全員が満足できる要求を開発し、合意に持ち込む力)
→合意=同意+サポート意思とすること(合意=単なる了解でなく、もし必要ならサポートもする事を約束したということ)