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超MBA式ロジカル問題解決 津田久資(PHP研究所)

1.良い解決策であるための「四つの条件」
(1)スピーディに出てきた解決策であること
(2)一義的なアクション可能なくらい具体的であること
・何をするかだけだとそこで思考停止に陥ってしまう。
・どうやってやるかまで曖昧な解釈を許さない形に具体化すること。
(3)解決策の実行により問題が解決するまでの「すじみち」があること
・問題Aから解決策Eまでの間にあるB〜Dのすじみちを含めて理解しておくこと。
・「問題Aには解決策Eを行う」という単純なノウハウだけの蓄積では応用が利かなくなる。
(4)他と比較して最も良いという「すじみち」があること
・複数の選択肢から合格点に達している解決策を見つけること。
・数ある選択肢が全て落第点とならないように網羅性を持って検討すること。

2.良い解決策を導くための「三つの要素」
(1)結論志向(ゼロベース思考)
・限られた不完全な情報の下でもその時点でベストの結論を常に考えること(=スピーディに繋がる)
・収集する情報の優先順位をつけること
・仮説とのブレが大きくかつ最終目標に大きな影響を与える部分から収集していく
・仮説の検証は別角度からのアプローチで行う。(検証結果A=検証結果Bであれば仮説精度が高い)
・ただし、その時点での結論にとどまらず、状況、進行に応じて絶えず結論は進化させていくこと
(=結論を検証する情報を収集していくこと、どのくらい不確定かを確定させていくこと)
(2)拡散・収束のプロセス
・拡散(広く網羅的な選択肢の検討)から収束(良いものから優先順位付けする)させること
・1回目の拡散・収束(問題点の分析から特定)から2回目の拡散・収束(仮説の検討から選択へ)と繰り返すこと
(3)発想力を引き出す論理的思考力
・頭に潜在的にあるアイデアを引き出すには論理的思考力が必要。
・論理的思考のみではなく、最終的にはジャンプ(思いつき、アイデア創出)すれば問題解決までの時間が短縮される。
(橋を向う岸まで作るのでなく、向こう岸まで飛べそうになったら作るのは止めてジャンプするのに似ている。)

3.モレなくダブリなく=MECEという発想
MECE「Mutually Exclusive Collectively Exhaustive」
(分けた要素が、互いに重なりなく、全て集めると余すところがない)
(1)モレをなくすコツ
選択肢をまとめて言い換える、あるいは反対の意味を考える
(2)二種類のツリー
①Why型
問題を分解しその原因仮説を洗い出していく
1回目の拡散・収束プロセスで用いる
②How型
課題を分解し、その解決策を洗い出していく
2回目の拡散・収束プロセスで用いる
(3)ツリー作成のコツ
①最初(一列目)の分解がポイント
②思い込みのある流れで分解しない
③不完全、曖昧(途中で思考停止してしまう)な言葉でツリー項目を命名しない
(4)掛け算、割り算アプローチ
定量的な事象分解に適している
・売上高=数量×単価から、売上を伸ばすには?①数量を増やす②単価を上げる
顧客満足度=機能/価格とすれば、①機能を増やす②価格を下げる
(5)足し算、引き算アプローチ
三つ以上の事象がある場合もあり、モレが出やすい
・開発コスト=内製+外製でコストを下げるには、①内製コストを下げる②外製コストを下げる
(その他の開発手段(アウトソーシングなど)がないかどうかモレ確認が必要)
(6)分解時の軸を明確にする
時間、金額といった定量値の概念(軸)を明確にする
定性値の場合、5W1Hで考え、「その他」の項目で補足すること

4.フレームワーク」を活用する
(1)3CではCompetitor(競合)をないがしろにしてはいけない。
 3C=戦略策定のためのフレームワークであるため。(競争優位性のない戦略はありえない。)
・戦略=A set of integrated actions to attain the corporate objective sustainably through competitive advantages.
(競争優位性を通じて継続的に行われる、企業の戦略目標を達成するための整合性の取れた一連の具体的施策)
(2)4Pと3C(4C)の関係
4P=マーケティングの方策を示す、3C=マーケティングの目標、ゴールを示す
両方を合わせて論理的、効果的に使うと良い
(3)PPM
経営資源配分の評価基準(選択肢)を絞り込むのに有効
評価基準は2つ(市場成長率と他社との相対成長率)しかない
(4)AIDMA
購買の行動過程の進行を表している所がポイント
ポイントさえ押さえておけば、フレームワークとして応用した使い方が可能

5.収束の方法論
(1)優先順位付けには何がしかの評価基準がある
(なんとなく=評価基準が顕在化していないだけ。潜在的にはあり。)
(2)評価基準の三要素
①実現可能性(ex.予算内に収まるアイデアかどうか)
②目的(課題解決)到達性
③副産物(ex.他の商品への影響(カニバリゼーション(共食い)やブランドイメージダウンなど)
の順でチェックする
・①は必須条件。当てはまらない項目は最初に除外する
・②で選択するのは最終的には意思決定者の主観となる。(特別なノウハウは存在しない)

6.論理的思考力の高め方
つきつめれば「論理的思考力」=文章力
(1)文章力の二要素
①適切な単語表現力
一つ一つの文や言葉を的確に表現する能力
②文章構成力
文や言葉を適切に繋げる事のできる能力
(2)(1)の二要素をバランスよく向上させるには
①単語を的確に造る
曖昧な言い回し、表現について、結局何を言い表しているかまで掘り下げること
(「これは結局なにを言っているのか」口癖になるまで検討する。)
②短文を簡潔に書く
長い文章は短く書き直す
文章間の繋がり(接続詞)をどうするか考える事により、論理力強化となる
③プレゼン資料作成時の注意
・基本は言いたい事は全て文章で書けること。その上でプレゼン資料にまとめる
・「→」でシンボル表現した場合、実際の説明時にどんな言葉で表現するか
(「だから」、「次に」、「その上で」等明確にしておく)
まで、検討しておくこと