使える弁証法 田坂 広志(東洋経済新報社)
1.弁証法において「最も役に立つ法則」
螺旋的発展の法則(物事は、螺旋的に発展する)
→「未来進化」と「原点回帰」は、同時に起こり「便利になった懐かしいもの」が生まれる
2.弁証法をどう使うか
(1)物事を見つめる方法
①消えたものは、必ず「復活」してくると考える
→何が消え、それがなぜ消えたのか、そして、どうすれば「復活」できるか考える
②消えたものには、消えた「理由」がある
→今の世の中の合理性、効率性から重要度が低くなったから(一時的に)消えたと考える
(2)螺旋的発展のプロセス
①「合理化」を実現するための「均質化」「効率化」(量を求める)
②①が極点まで達すると消えていった「個性」への見直し、反転(質を求める)
→極点まで達したかどうかの判断の目安
当初流行のキーワードが当たり前(忘れ去られた)となったかどうか(例.インターネット)
③「個性化」が復活する際には、必ずそれまでにない「価値」が付け加わる(螺旋階段を一段登る)
→新しい価値は「ハイテク」とは限らず、「ハイタッチ」(暖かさや心配り)も時には必要
(3)否定の否定による発展の法則
→物事はまず「否定」される形で変化が始まり、その変化が極点までいくと
最初の「否定」そのものが「否定」(螺旋階段を一段登る)され、新たな発展が始まる
(4)対立物の相互浸透による発展の法則
対立している二つのものは、互いの性質が相互に浸透していき発展する
(5)矛盾の止揚による発展の法則
全ての物事にはその内部に「矛盾」があり、その矛盾の止揚(発展的な解消)することで発展していく
①「矛盾」それ自体が、物事の発展の原動力となる
②「矛盾」のマネジメント
「矛盾」に対して「割り切らない」ことが重要
(例.企業の「利益追求」と「社会貢献」どちらかのみでは成り立たない→適正な利益追求、適正な社会貢献が必要)
③止揚の概念
正、反いずれも「割り切らない」
割り切りは魂の弱さ、思考停止→止揚するには常に思考し続けないといけない
両者を肯定、包含、統合して、それを超越した高い次元へ昇華すること
振り子を振って、両者のバランスをとること
3.弁証法で身につく力
(1)対話力と歴史観
洞察力、予見力だけでなく、対話をするだけで自然に思考が深まってくる(物事や歴史の本質が見えてくる)