インターネット・ブランディング最前線 赤城 稔(ソフトバンクビジネス)
1.インターネットがブランドを作る時代
(1)トラフィック(顧客)は集めるのでなく、集まるもの
ユニーク/便利/差別化された仕組みとコンテンツを最初に作り出すことで、最初の一回りが転がり始める
(2)ベルカーブにあるキャズムを超えること
市場全体をベルカーブ(釣鐘型)を描く以下の分布と捉える。(ロジャース「イノベータ理論」)
①革新者(イノベータ)(2〜3%)
②先駆者(アーリー・アダプタ)(10%強)
③実利主義者(アーリー・マジョリティ)と保守派(レイト・マジョリティ)(ほぼ同率で合わせて70%弱)
④懐疑派(ラガーズ)
→キャズムとは、②と③の間にある大きな溝
→③が自発的に集まってくる商品(わかりやすい/面白い/尖っていない魅力)
(3)市場にブランドの種を蒔き、時々かき混ぜる(無料サービス、ベータ版など)のが企業だが、ブランド自体は顧客が作っていくもの
①顧客とのコラボレーション、目利きの顧客をブランド作りに巻き込むこと
②ただし「イノベーション」は企業側が創造していく
2.コミュニティ・ビジネスというビジネスモデル
・パーミッション・マーケティング
特定のジャンルでマーケティング活動の対象となる事を顧客自身に許可(承認)してもらう
→ユーザ属性ベースでターゲティングしている分、レスポンス率高くなる(例.オプトインメールなど)
3.IP企業が注力するM&Aの真意
・M&Aの最大の目的は「時間を買うため」であるが、ヤフーの場合、買収先の人材確保を最重要目的と考える
(優秀な人材イコール生産性の高い工場と考える)
4.ヤフー(に代表されるポータルサイト)から学ぶべき点
(1)N対Nの構図、双方向の重要性(エコシステム・還元モデル重視)
(2)徹底した利用者(顧客)志向、顧客基点の思想
(3)顧客と開発者まで近い距離感(全員がフロントエンドの意識)
→スープの冷めない距離(クレーム、要望を緊張感を持って社員全員が聞く)
(4)資本・業務提携の効用(自前主義に拘らない・ナンバーワンと組む)
(5)M&Aの目的明確化(あくまで本業の水平・垂直展開、人材確保重視)
(6)生態系、ライフエンジンというコンセプト
→バーチャルとリアルの絶え間ない連鎖、密接な連携からくる循環させること(V→R→V→R〜)
(7)戦略と人事評価(成果主義)制度との整合性
(8)スピード感
(9)プロダクトアウトにおけるキャズム超えの方法論
(10)デファクトを取るための全方位外交
5.マーケティングの定義
以下の2つに集約される
(1)市場調査
リサーチ、顧客ニーズ吸収、マーケットイン
(2)市場創造
プロダクトアウト、広告、販促、マーチャンダイジング
→自らの商品のために市場を創り出すこと
6.顧客の4分割
顧客構成は、値引率と売上高で以下の通りマトリクス分割(4分割)できる
(1)チェリー・ピッカー(顧客構成比:約30%、売上構成比:約16%)
目玉商品を渡り歩く(値引率大きいときのみ購買するが売上低い)
(2)値引き愛好者(顧客構成比:約20%、売上構成比:約29%)
特売日にまとめ買い(値引率大きいときのみ購買し、売上高い)
(3)ライトユーザ(顧客構成比:約20%、売上構成比:約13%)
リピーターを含む一般客(値引率低くとも購買するが、売上低い)
(4)お得意様(顧客構成比:約30%、売上構成比:約42%)
値引きに左右されない(値引率低くとも購買し、売上高い)
→来店頻度、売上貢献の高いお得意様を増やす(チェリー・ピッカーからの変貌を促進させる)ことが大切
7.顧客のニーズ(5段階)
(1)明言されたニーズ
(2)真のニーズ
→表層から数えて2層目であり、まだ3つのニーズが下層に内在する
(3)明言されないニーズ
(4)喜びのニーズ
→プロダクトアウトされた後に(予想外だったため)喜ばれるニーズ
(5)隠れたニーズ
→深層心理に隠されているニーズであるため、当人も気づいていない