問題を整理し、分析する技術 日本能率協会コンサルティング(日本能率協会マネジメントセンター)
1.問題解決の整理&分析
(1)考え方
・問題とは「あるべき基準と実際の差異」
・ビジネス上の問題は「重要性」と「緊急性」により時間的制約条件があり、
「時間切れの意思決定」の連続である
・問題のタイプ
①発生型問題
今まさに発生している問題
②設定型問題
あるべき基準設定によりそれを達成していく問題(課題とも言う)
③将来型問題
将来発生する可能性のある問題
・問題分析のプロセス
①仮説検証
やみくもに問題分析を行っても良い成果は早く得られない
仮説をたてることにより「当たりをつける」(着眼力)ことが重要
着眼力は様々な分析手法から身につける
②説得
仮説に対して自分だけ納得してもはじまらない
組織として意思決定できる説得材料を揃え、関連者間の合意形成が必要
③意思決定
組織的な意思決定手続きをすすめる
・整理・分析のプロセスは「広げる」と「絞る」の繰り返し
キーワードは「場合分け」「数値化」「順位づけ」
手法は「分解型」「クロス型(表形式で集計)」
・問題分析後のプロセス
①対策立案
有効性(問題解決に対する効果)と実現可能性(解決策が実施可能かどうか)を重視して立案
②スケジュール化
対策の手順とタイミングを決定する(問題の緊急性を考慮)
合わせて実施する担当者と責任の明確化が必要
③進捗管理
目標達成度で進捗を管理する
目標は、「何を」「いつまでに」「どの程度にするのか」で設定
④成果把握
目標を指標化して把握する
結果指標(成果物を計る基準)だけでなく
プロセス指標(目標に至る過程が良い方向性かどうか計る基準)により軌道修正を早めに実施
(2)パターンと手順
・目標の構成要素
①評価指標(測定方法)
②定量化(現状値、目標値)
③達成期限
・原因分析のポイント
①網羅性
原因を分解していった内容に漏れがないかどうか
②論理性
原因の分解方法が論理的に正しいかどうか
③定量性
原因を分解した結果をそれぞれ重み付けできるかどうか
・原因の体系化方法
①現象別
②時系列別
③プロセス別
④特定視点別
・原因の対極発想法
問題が起きないようにするには何が必要か発想する
(3)効果/効率を上げるポイント
・分析自体の分析(手法論)に陥らないためのポイント
分析作業時に以下の枠組みに収める事をいつも意識する
①Q(目的合致度)②C(投入工数、サンプリング数) ③D(納期、分析期間)
・効果的な分析方法
仮説検証を以下の手順で実施
①現状特性把握 ②各事象の定量化、関係性把握
・分析におけるポイント
①一貫性
分析した要素間(論理的に繋がっていること)
サンプリング情報(偏り、ばらつきのないこと)
②網羅性
分析範囲/対象期間/仮説展開内容に漏れがないこと
③正確性
客観的/事実確認済み/計算間違いのないデータ
2.問題の整理に関連した法則
(1)2・6・2の法則
上位2割が優秀、下位2割が落ちこぼれ、中間が6割
下位2割が改善されてもまた残り8割が同じように分割される
(2)ハインリッヒの法則
1件の重大災害の影に29件の軽災害、
300件の「ヒヤリ、ハット」(けがにならない事故)が隠れている
(同じ要因であるが、たまたま災害となっていないだけ)
・重大なクレーム1件があれば300件の改善対策を打つべき
・細かなクレームが300件たまれば、重大クレームが起きる可能性が高い
(3)メトカーフの法則
ネットワークの価値は利用者の2乗に近い数値で爆発的に高まる(n(n-1)通り、送受信別でカウント)
(4)ジップの法則
出現率(%)=10/順位となる(1位:10件、2位:5件、5位:2件、10位:1件)
(5)パレートの法則
上位2割の項目が全体の8割の比率を占める
・データが多いときは「ジップ」、少ない時は「パレート」で使い分け