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マーケティング理論と戦略がよ〜くわかる本 宮崎 哲也(秀和システム)

1.環境分析
(1)PEST分析
 Political(規制緩和など)、Economical(公定歩合、為替変動など)、Social(クールビスなど)、Technological(モバイルスイカなど)のマクロ環境分析
(2)コンペティターとコンプリメンターの見極め
 選択的消費の時代であるため、
 ①異なる業界同士のコンペティター(カラオケと携帯電話)
 ②従来コンペティターからコンプリメンターへ(映画会社とビデオ会社)
(3)5フォース分析
 ①新規参入企業②代替品、代用サービス③売り手交渉力④買い手交渉力⑤競合企業
(4)バリューチェーン
 顧客価値を生み出す連鎖を機能分割することで、ボトルネックを見つけやすくする

2.製品・イノベーション戦略
(1)計画的陳腐化戦略
 ①機能的陳腐化(コンピュータ、携帯電話など)
 ②心理的陳腐化(流行の衣服など)
 ③材料的陳腐化(意図的な製品寿命短期化:一部のパンスト、家電製品など)
 →デメリット:資源浪費、環境破壊
 →メリット :セコハン市場活性化
(2)ブランドの機能
 ①識別(他とは違うことが明確)
 ②出所表示(どの会社が作ったのか明確)
 ③品質保証(安心感)
 ④販売促進(ブランドロイヤリティによる消費)
 ⑤バンドワゴン効果(多くの人が持っているほど購入意欲が増す)
 ⑥スノッブ効果(多くの人が持っているほど購入意欲が減る:希少性効果)
 ⑦ウェブレン効果(他人に見せびらかしたい欲求)
 ⑧想起(名称だけでイメージが明確)
 ⑨固定客との関係維持
 ⑩付加価値(同等品質/デザイン商品との差別化)

3.価格戦略
(1)顧客の値ごろ感とのギャップ
 以下①、②の差が大きいと売上げ減
 ①カスタマーバリュー
  消費者が購入しても良いという価値
 ②テクニカルバリュー
  企業から見た製品に対する価値
 →②は①を考慮すべきだが、正当評価されるべく顧客への啓蒙も必要
(2)マークアップ(仕入れ原価への上乗せ)率
 ①マークアップ率低い(100円ショップ、日用品)
 ②マークアップ率高い(宝石、ブランド、コンタクトレンズ)
(3)ロスリーダ(捨石)プライシング
 原価割れした価格設定で顧客を呼び込み、他の商品で利益確保
(4)EDLP(Everyday Low Price) 
 その都度目玉商品設定(High and Low戦略)するよりも広告費(特売、バーゲン広告)削減できるが、徹底したコスト管理が必要
(5)二重価格表示
 メーカー希望価格(定価)と当店価格の表示
 →景品表示法(販売開始から2週間以上経過しないと値下げ価格表示できないなど)の考慮必要
(6)デファクトスタンダードの効果と弊害
 ①ロックイン効果(ユーザ囲い込み、乗り換えが困難、できなくなる状態)
 ②スイッチングコスト(新製品乗り換え時の費用、手間)がない
 ③収穫逓増効果(生産投入増やすほど売上も増加)
 ④WTA(Winner Takes All)一人勝ち、勝者総取りが生まれ、価格の下方硬直性が生まれやすい

4.プロモーション戦略
(1)バイラル・マーケティング
 口コミを誘導する仕掛けを戦略的に施す
 →アフェリエイトプログラムもこれを利用

5.消費者行動
(1)消費者関与
 一般消費者より商品に対する関与が高い消費者(お得意さんによる口コミ)
 →単なるお得意さんからメッセンジャー、営業マンとなる
(2)認知不協和理論と対比理論
 購買後は自分の判断が正しかった事としたい心理が働く(認知不協和理論)
 →ただし、あまりにも期待が裏切られた場合、評価を必要以上に落とすことになる(対比理論)
(3)デモンストレーション効果
 他人の消費が自己の消費に影響を与える
 →準拠集団(会社組織)やオピニオンリーダー(有名芸能人など)をお手本に購入
(4)ハロー(Halo:後光、威光)効果 
 有名ブランド、一流企業の信用効果
(5)最適基準と満足基準
 重要度の高い商品(自動車、家など)は最大限の情報を収集してから購入(最適基準)
 →それほど高くない商品(日用品など)や時間的制約が厳しいと、情報をショートカットした形で収集して購入(満足基準)
(6)プロシューマー
 ProducerとConsumerのミックス(消費と生産の垣根があいまいとなる)
 →消費者自ら提案/組み合わせ可能な製品の購入(BTO)
(7)ネット系情報の限界
 経験情報、非デジタル情報、暗黙知、サブリミナル知覚、刷り込み情報(風合い、着心地、味、第一印象など)は消費者に伝えきれない
(8)顕示的消費
 見栄、誇示するために消費(高級ブランドによるステータスシンボル)
(9)シュミラークル
 オリジナル(本物)ではないが、独自の存在感のある魅力ある存在(ある側面ではオリジナル以上のもの) 
(10)リフレッシュメント欲求
 本来の目的に付加されるストレス解消、癒し、気分転換への欲求(マッサージ、カラオケ、旅行、車のモデルチェンジ、お店模様替えなど)

6.リレーションシップ・マーケティング
(1)CRM
 既存客への関係性強化と固定客維持・拡大戦略(リピーターの育成)
 →新規開拓コストより固定客維持コストの方が安い(コスト比4:1)
 →顧客離れを5%改善すると利益が25%改善する
 ①FSP(Frequent Shoppers Program)
  購買頻度(Frequency)を高めるためのプログラム
  航空業界(FFP:Frequent Flyers Progmam)、ホテル業界(FSP:Frequent Stayers Program)
 ②LTV(Life Time Value)
  優良顧客が生涯にわたって企業にもたらせてくれる価値
(2)4P→4C
 売り手から顧客へと検討する
 Product →Customer Value
 Price  →Customer Cost
Place  →Convinience
Promotion→Communication
(3)クロスセリング
 関連購買(例.スーパーで鍋物の材料をまとめて陳列)
(4)RFM分析
 以下の各指標により顧客をランク付け
 ①Recency(近時性)→いつごろ前に
②Frequency(頻度)→どれくらいの頻度、回数で
③Monetary(金額) →いくら買ったか

7.企業価値経営
(1)市場評価と社会的評価のバランスが必要
 ①市場評価
  金融・資本市場での競争優位性を判断する時価総額などから規定される
 ②社会的評価
  MOT(R&Dから商品化までの一括管理のこと、PL法、知的財産(IP)管理など関連)
  CSR(ISOによるCSR規格)
  IR(Investor Relations):投資家との関係を良くして企業価値を高める活動(PR:Public Relationsは大衆との関係向上活動)→ディスクロージャー
  コンプライアンスコーポレートガバナンス